ちゃんとやっているのに・・・。
そう言って、子どもが、
助けを求めてきた。
「ちゃんとやったのに・・・。」
「みんなが責めてくる!」
怒り。
不安。
私は、その悔しい気持ちを受けとめた。
(ちゃんとやったのに、
みんながやってないって責める。)
そう思って、いらいらしている。恐れもある感じがする。
そんなこと言われたくないのに。
嫌だ、助けてほしい!
そんな叫びも受けとめた。
悔しかっただろうなあ
不安なんだろうなあ
と声に出さずに
思いに共感する。
―しばらく沈黙―
子どもは
自ら語り始める。
急いでいたから、
焦っていたから、
充分できなかったかもしれない。
見ていた人には、やってないように見えたのかもしれない。
自ら振り返っている。
子どもって、素直に、言葉が出てくる。
ついさっき起こった出来事。
私は見ていなかったけれど、
話を通して、
起こっていることは想像できる。
責められていると思って
私のところにやってきたはずなのに、
自ら、語り、振り返り、
自分の周りで起こっていることを
見つめて、だんだんと気づき始めている。
子どもは雄弁。
こんなにも、
この子は言葉を持っていたのか。
具体的で、順番をおって
わかりやすく話している。
わかってほしい気持ちが伝わってくる。
話しながら、整理している。落ち着いていく。
自分のことを、ごまかさずに語り、
ちゃんとわかってほしいという一途な思いが伝わってくる。
次の段階は、当事者同士で思いを伝え合う。
やはり、それぞれの思っていることに、
ずれがある。
ずれているところを取り出して、
思いちがいがあることを確かめ合う。
次第に理解し合って、納得感を持つ。
これからどうするかも話し合う。
前むきに動き出していく。
子どもは正義感が強い。
ほどほどに済まさないので、
限度をわきまえないこともある。
互いに媚びない。
慰め合うわけでもない。
自分を主張し過ぎることもある。
相手を受け止める関係づくりができている時は、
解決に向かう。
しかし、冷静に現状を見極める存在が必要になる。
子どもに起こった出来事。
大人の世界でも起こっている。
思いを安心して話せると、
自然に、自分自身が見つめられていく。
大人も子どもも、
素直に語れる環境を必要としている。
一緒に仕事をしているメンバーの意思疎通。
正直に話せると、
信じ合えるつながりとなっていく。