鎖を解き放つ
鎖を解き放つ
身体中を鎖で、グルグルと、縛られている感じがする。
不自由さ、窮屈さを感じ、
息を殺して、
ギュッと心を押し込めて、
何とか生きている。
「やっていいこととやっていけないことがある。」
鎖は私に耳元でささやく。
「何をやったらいけないの。」
鎖は応えてくれない。
「ねえ。やってはいけないの。」
「ねえねえ。やってはいけないの。」
いくら聞いても、答えを教えてはくれない。
「こうやってやったら。いいんだよ。」
と言ってほしい。
言ってくれない。
何か言っている。
私にはわからない。
わからない。わからない。
彷徨っている。
彷徨い続ける。
私には、わからない。
混沌としている。
ああ。わからない。
身動きできなくなってくる。
鎖でぐるぐる巻きにされている感じがする。
私のほしい答えは・・・。
その鎖を一つひとつ、
こんがらがっているところを
ぐちゃぐちゃになっていることを
このまんまでは、
苦しくて、苦しくて、
痛くて、痛くて、
どうにもならない。
自分の力で一つひとつ外していこう。
決死の覚悟をする。
自分の手で外そう。
意思を持って、自ら動き出す。
順番に外していく。
その時、その鎖の意味を考える。
その時、鎖は私を守っていたことに気づく。
今の私は、その中でつくられてきたのだ。
今の私が、出来上がってきた証だったのだ。
今の私を、ずっと見ていてくれた。
気長に、鷹揚に、
厳しく、隅々まで気を配り、
小さなことも見逃さず。
ずっと見守っていてくれた。
その事実に深く頭を下げ、感謝しながら、
鎖をひとつずつ外していく。